耕作農家からサステナブルなスパークリングワイン生産者への道
イングランド南部サセックス州の中心部、なだらかな丘陵地帯と白亜質の土壌がちょうど出会う場所に、ラスフィニー・ワイン・エステートはあります。家族経営の栽培農家であるラスフィニーは、同時にヴィンテージ・スパークリングワインの生産者でもあります。
ラスフィニーは、ロンドンの金融街で働いていたマークとサラ・ドライバー夫妻のビジョンのもと設立されました。かつて耕作地であったこの場所は、今では活気あるブドウ畑となり、最高級のスパークリング・ワインを生産しています。
耕作地からワイン生産地への変身は、「最高級のスパークリングワインをつくる」というマークのシンプルで大胆な目標から始まりました。決意と土地への深い愛を武器に、夫妻はワイン造りという冒険に乗り出します。2010年に取得した農場にちなみ名づけられたラスフィニーは、夢が花開き、実を結ぶ場所となったのです。
ラスフィニーにあるすべてのブドウから、この土地の素晴らしさをうかがい知ることができるでしょう。土地はブドウを育て、ワインを作り、土壌を豊かにしてくれます。スパークリングワイン生産者で初めて、環境や社会に配慮した企業認証B-Corpを取得したラスフィニーは、ビジネス感覚と環境の管理を融合させています。ラスフィニーのブドウ畑は、初めから持続可能性を意識して作り上げられたものなのです。
日照量が多く乾燥した半大陸性気候と白亜質の土壌のテロワールに恵まれたサセックス州は、フランスのシャンパーニュ地方と非常によく似た条件を揃えています。降り注ぐ陽光と古代から培われた土壌がラスフィニーのブドウを育みます。
マークが初めてイギリス産のスパークリングワインを試飲したのは、2009年のことでした。「かなり美味しい」という感想と同時に抱いたのは、「伝統的な製法のスパークリングワインと肩を並べることができれば、ラスフィニーはニッチな市場の開拓者になる」という予感でした。街の喧騒からブドウ畑の畝へと、マークの活躍の場は変化しました。ドライバー一家は230エーカー以上にわたりブドウの木を植え、夢の実現へと歩みを進めたのです。
「ここサセックスで、私たちは ”パリ盆地” として知られる白亜質の土でブドウを栽培しています。この白亜の帯はパリを囲むように走り、そのまま海を潜り、イングランド南部を駆け上がり、英国の絶景のひとつに数えられるセブン・シスターズを形成します。
この白亜質土壌は、スパークリングワインにとってすばらしい生育環境だと考えられています。表面の土は30~50センチと非常に浅いため、ブドウの木の根は表土を抜けてそのまま白亜土の中に入っていきます。
フランスのシャンパーニュ地方と同じように、白亜質の土壌の養分を吸収して育ったブドウは驚くほどの仕上がりになります。ワインメーカーが呼ぶところのミネラル感に満ちた果汁が、複雑な酸味を備えた上質なワインを生み出すのです
マークたち一家が、いかに情熱と忍耐をもってスパークリングワイン造りに取り組んできたのかは、14年にわたる挑戦からうかがい知ることができるでしょう。家族のメンバーがビジネス上で重要な役割を担っているため、当初から家族経営でワイン生産を行ってきました。
サセックスという地域もまた、ラスフィニー・スパークリングワインの躍進に重要な役割を果たしています。現在サセックス・スパークリングワインは、地域に根ざした高い品質の食品や飲料を保護する原産地保証保護(POD)を取得しています。
「私たちの夢は、20年後東京のバーやレストランに出かけた皆さんが、「シャンパンはいかがですか? それともサセックスをグラスでいかがですか?」と聞かれることです。もちろん僕はラスフィニーをおすすめしますよ!」
海から5マイルしか離れていないこの場所では、ブドウ畑に有害な春の霜がなく、温暖な気候に恵まれています。海に近い地形は長い日照時間をもたらし、夕方には潮風がブドウの木を乾燥させ、病害から守ってくれます。
「私たちはフランスのシャンパーニュ地方と同じ白亜の土地でブドウの木を育てています。また、現在のサセックスは30年前のシャンパーニュ地方と同じような気温になっています。このようにブドウの生育に最適な気候条件が揃っているため、ブドウが自然に生成する糖分がすべて得られるレベルまで熟させることかでき、発酵段階で糖分を加える必要がないのです」
海にほど近く、塩分を含む土地で生産されるため、私たちのスパークリングワインはとくにシーフードとよく合います。日本ではロゼ・ブリュットはイクラと、クラシック・キュヴはウニと組み合わせられることからうかがえるように、シャルドネ100%のブラン・デュ・ブランは、牡蠣やカニ、エビなどの魚介の風味にマッチします。
ピノ・ノワールを主体にしたブラン・ド・ノワールは、洗練された酸味が、ジビエ、ラム、鹿肉、果実のコンポートといった肉料理に合うことで知られています。
ラスフィニー・スパークリングワインは、魚の旨みを活かす日本料理とすばらしい調和を見せます。スパークリングワインの繊細な泡は、山や海の恵みの味わいに満ちた料理をさらに引き立てることでしょう。まさに完璧なペアリングです。
ラスフィニーにとって、日本はアジア最大の市場のひとつです。東京の一流ホテル、バー、レストランでラスフィニー・スパークリングワインを味わうことができるでしょう。英国はラスフィニーだけでなく、世界中の消費者を感嘆させるようなすばらしいイングリッシュ・スパークリングワインの作り手を有しています。
英国の食品や飲料は、伝統を受け継ぎつつ革新的なアイデアを取り入れることによって、驚くような食文化を生み出しています。スコットランドの潮の香り、ウェールズに広がる丘陵地帯で育てられたラム、サマセットの緑豊かな田園地帯。生産地をたどり、食料がどのように作られているのかを知れば、本物の味わいと生産者の誇りを食卓での一口から感じることができるでしょう。
ラスフィニーの詳細についてはこちら、GREAT Food and Drink Campaignの詳細についてはこちらからご覧いただけます。